LLMO対策で「効果が確認されていない」もの|構造化データとllms.txtの実証データ
LLMO対策として広く勧められている構造化データとllms.txtについて、効果を検証した大規模調査の結果をまとめました。どちらも「AI引用が増える」効果は確認されていません。自社が機能として提供しているllms.txtも含めて、数字と出典をそのまま公開します。
執筆・分析:中澤大治郎(ナゾックス株式会社)。本文の構成と一部の文章・図版の作成にAIを補助的に使っています。数値・検証結果・見解はすべて執筆者本人のものです。
結論
LLMO対策としてよく挙がる施策のうち、次の2つは「AIに引用されやすくなる」効果が確認されていません。
| 施策 | 検証内容 | 結果 |
|---|---|---|
| 構造化データ(JSON-LD)の追加 | 1,885ページ vs 対照群4,000ページの差分の差分分析 | AI Overviews −4.6% / AI Mode +2.4% / ChatGPT +2.2% |
| llms.txt の設置 | 137,000ドメインの調査 | 公開されたファイルの 97%がリクエストゼロ |
先に断っておきます。llms.txt は、当社が「ケンランSEO」の機能として提供しているものです。 自社に不利なデータですが、隠す理由がないのでそのまま書きます。効果が薄いと分かっているものを「AI対策に必須です」と売るほうが、長期的に失うものが大きいためです。
以下、数字と出典、そして「じゃあ何が相関しているのか」を順に見ていきます。AI検索対策の全体像は「LLMOとは?AI検索時代のSEO対策完全ガイド(2026年版)」にまとめています。
① 構造化データを追加してもAI引用は増えなかった
Ahrefs が2026年5月に公開した検証です。
- 2025年8月〜2026年3月に JSON-LD を新しく追加した1,885ページを追跡
- 対照群として4,000ページを条件を揃えて用意
- 両群の変化を比べる差分の差分(difference-in-differences)分析を実施
- 測定対象は Google AI Overviews / AI Mode / ChatGPT の引用
結果は次のとおりです。
| プラットフォーム | 対照群と比べた変化 |
|---|---|
| Google AI Overviews | −4.6%(わずかに減少) |
| Google AI Mode | +2.4%(誤差と区別できない) |
| ChatGPT | +2.2%(誤差と区別できない) |
Ahrefs はこれを「どのプラットフォームでも大きな引用の増加は生じなかった」と結論づけています。
出典: Schema Markup Didn't Move AI Citations In Ahrefs Test(Search Engine Journal、2026年5月)
「構造化データがあるページはよく引用される」との違い
紛らわしいのですが、構造化データがあるページのほうが引用されやすいという相関自体は存在します。Ahrefs はこれを、構造化データが直接効いているのではなく、きちんと手入れされたサイトほど構造化データも実装しているという品質の反映だと解釈しています。
相関があることと、追加したら増えることは別です。今回の検証は後者を否定しています。
Google自身も「AI向けの特別な構造化データは不要」と説明している
Google は、AI Overviews や AI Mode のために特別な構造化データを用意する必要はないとしています。通常の検索のための実装で足ります。
② llms.txt はほとんど読まれていない
llms.txt は、AIに向けてサイトの案内を書くとされる仕様です。Ahrefs が2026年6月に公開した調査があります。
- 137,000ドメインを分析
- そのうち 28% が llms.txt を公開していた
- 公開されていたファイルの97%が、2026年5月にリクエストをまったく受けていなかった
- 有効な約38,000件のうち、アクセスがあったのは約1,100件のみ
- 発生したリクエストの96%はボットによるもの
- しかもそのボットの 77%はAIツールではなかった(SEO監査ツール、一般のクローラー、技術プロファイリング、llms.txt の検証ツールなど)
出典: We Analyzed 137K Sites: 97% of llms.txt Files Never Get Read(Ahrefs、2026年6月)
Google は llms.txt に対応していないことを明言しています。この点は「llms.txt とは?Googleは「順位に影響なし」と明言──ケンランSEOで作って公開し、効くかを実測する」でも扱っています。書き方そのものは「llms.txtの書き方と設定方法|AI検索に引用されるための実装ガイド」を参照してください。
それでも「不要」とまでは書きません
置くこと自体に害はなく、設置コストも小さいためです。**「不要」ではなく「現時点では優先度が低い」**が、データに対して誠実な表現だと考えています。当社の機能ページの記述も、この表現に合わせます。
③ では、何が相関しているのか
「効果がない」だけでは前に進まないので、相関が報告されているものも挙げます。
Ahrefs が75,000ブランド(ドメインレーティング40超)を対象に、ChatGPT・Google AI Mode・AI Overviews での可視性との順位相関(Spearman)を出した調査があります。
| 指標 | AI可視性との順位相関 |
|---|---|
| YouTube上での言及 | 0.737 |
| Web上でのブランド言及 | 0.664 |
| 被リンク | 0.218 |
出典: YouTube mentions are the top signal for AI brand visibility(Ahrefs の75,000ブランド調査についての報道)
別の調査(5W)では、ブランド指名検索のボリュームと引用の相関が 0.334 と報告されています。
出典: The State of AI Citations 2026(5W)
注意点を2つ。
**1つめ。上の2つは別々の調査で、対象も方法も違います。**同じ表に並べて「0.737 > 0.334 だから YouTube のほうが重要」と順位づけることはできません。この記事の冒頭で構造化データについて指摘したのと同じ誤りになります。それぞれの調査の中での大小しか言えません。
**2つめ。いずれも相関であって、因果ではありません。**YouTubeに動画を出せば引用されるという意味ではなく、AIに引用されるようなブランドはYouTubeでも言及されている、という関係までしか言えません。
そのうえで共通しているのは、強い相関が報告されている指標がいずれも自社サイトの外側で起きることです。サイト内をどれだけ整えても、この部分は動きません。
検索順位との関係も、以前より弱くなっている
Ahrefs が863,000キーワード・400万件のAI Overviews URLを分析したところ、AI Overviews に引用されたページのうち、同じクエリで Google の上位10位にも入っていたのは約38% でした。残りは11〜100位と100位圏外がほぼ半分ずつです。
出典: Google AI Overview Citations From Top-Ranking Pages Drop Sharply(Search Engine Journal)
つまり 上位10位に入ることは、AI引用の必要条件ではありません。関連はありますが、順位だけを追っても引用は取れないということです。
なお、この調査には注釈があります。Ahrefs 自身が「引用の検出精度が向上したため、以前の調査の数値と直接は比較できない」としています。「前年の76%から38%に激減した」という言い方は正確ではありません。
④ 当社サイトでの実測
本サイト(kenran-seo.com)で計測している115キーワードの実測値です。2026年8月24日時点。
| 項目 | 実測 |
|---|---|
| AI Overviews が表示されたキーワード | 110件 |
| そのうち自社が引用されたキーワード | 0件 |
AIの回答が出る土俵にはすでに立っているのに、一度も選ばれていない状態です。
引用されているのが誰なのかも見てみました。「seo対策とは 簡単に」という検索での AI Overviews は、検索結果の最上部に表示され、本文は約1,464文字、引用元は16件でした。
内訳は解説記事を出している事業会社のサイトが中心で、そのうち 4件が youtube.com でした。前の章で挙げた「YouTube上での言及が最も高い相関」という数字と、自社のキーワードで実際に一致しています。1つの検索結果なので一般化はできませんが、示唆的ではあります。
⑤ 誤解しないでいただきたいこと
構造化データを外してくださいという話ではありません。
- 構造化データは、リッチリザルトなど通常の検索での意味があるので、これまでどおり実装してください
- llms.txt も、置いてあること自体に害はありません
この記事が言っているのは一点だけです。「これをやるとAIに引用されやすくなる」という説明には、現時点で裏付けがない。だから、そこに時間と費用を集中させる判断は、いま下すべきではありません。
⑥ 何を信じて、何を保留するか
この分野は変化が速く、今日の数字が半年後も正しい保証はありません。日本語圏のAI引用元ランキングも、月単位で入れ替わっています(2026年6月は比較メディアの it-trend.jp が首位、7月は youtube.com が首位)。
そのうえで、変わりにくいのは次の3つだと考えています。
- AIがページを取得できること(クローラーが弾かれていないか、JavaScriptなしで本文が読めるか)
- 質問に直接答えている本文があること
- サイトの外側での言及があること
2つめについては、自社ブログ49記事を実測した結果を「AIが読むのは見出し直後の200文字だけ? 自社49記事を測ったら本文が1文字も入っていなかった」に書きました。答えを書いていても、置き場所を間違えるとAIに届きません。
いずれも特定のAIの仕様に依存しません。仕様が変わっても価値が消えない部分です。
逆に、特定のエンジンの内部挙動を前提にした施策は、次の変更で無効になります。当社もそうした挙動を検証していますが、記事にするときは必ず「観測」と「公式」を書き分け、出典と時点を添えることにしています。
この記事の調査方法について
- 引用したすべての調査に、出典URLと公表時期を明記しています
- 相関を示す数値は相関であり、因果関係を示すものではありません。本文中でも都度その旨を記載しています
- 「当社サイトでの実測」はケンランSEOで計測した2026年8月24日時点の値です
- llms.txt は当社が機能として提供しているものであり、本記事はその機能にとって不利なデータを含みます。それでも掲載しているのは、根拠を示すことを製品の前提としているためです
